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No.61

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「起きたらあなたが、いないのはどうして?」彼女の声は寝ぼけていてたまたま通話に出…

小説

#レイ主

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#レイ主


「起きたらあなたが、いないのはどうして?」
彼女の声は寝ぼけていてたまたま通話に出れた彼は一瞬何の話か分からなかった。
「夢の話をしているのか?」
おそらくそうだろうと検討をつけると、彼女は夢と繰り返した。
「夢なの?」
「夢だろう、私はずっと仕事していた」
「ギャッ!」
すごい声が上がった。
「あの、ごめんなさい、仕事が忙しくてくたくたで眠ったら夢と現実が分からなくなったみたい」
「私が夢にいたのか?」
彼女が押し黙った。彼は妙に急いた気持ちになった。
「そう、」
やけくそみたいに彼女は言った。
「あなたの夢をみたの!悪い?!」
「悪くはない」
彼は自分の高揚を押し殺した。が、彼女は恨めしそうに言う。
「にやにやしないで」
「してない」
「もういい、仕事を邪魔してごめん。もう切るから」
「今日は家にいるのか?」
「寝てる!」
「なら、今から行く」
えっという声がして、待たずに通話を切った。急いで準備して彼はオフィスを出た。看護師に言付ける。
「ゆっくりでいいですよ、先生、暫く帰っていないんですから」
彼は礼を言い、病院を出て車に乗った。本当は運転をしていい体調ではなかったのかもしれない。あきらかに寝ていなかったから。自動運転機能を強めに設定し、しかし、急いだ。
電話が鳴る。
彼女だ。
彼は出ない。

「………あなたって」
寝癖で髪を跳ねさせた彼女は呆れたような感心したような顔をした。
「よく事故を起こさなかったね?」
「疲れた」
「………そう」
お疲れ様、レイ先生。彼は抱き締めながら彼女の声を聞く。ずんとのしかかる眠気と疲労を感じた。彼女もそれに気づいたらしかった。背中をさすってあやすようにし、手をつないで彼女がベッドに案内してくれる。彼は素直にベッドに横になった。
「アラームはセットしてる」
「そこは起こしてくれ、じゃないの?」
「そんな不確実なことはしない」
「わかった、キスで起こしてあげる」
彼は眠気に抗いながら彼女を見た。彼女がベッドに片膝を乗せて、彼に屈んだ。
「有り難う」
少し伸びた無精髭を撫でるように指が顎先に触れて、頬にキスが落ちる。
彼は目を瞑った。

規則正しい寝息が聞こえる。彼女は唐突に現れて、すぐ寝入ってしまった彼の寝顔をまじまじと眺める。笑ってしまうような胸の温もりに、彼女は素直に笑って、彼の頬を撫で、毛布をかけた。しばしの間、彼女は彼を見つめ、指先を絡め、髪を撫でた。

その内無粋なアラームがこの時間を壊すまで、彼女は彼との新しい夢の続きを見ていた。

アナウンス
※現在こいくう以外のソシャゲのプレイは休止しています。その為作品はプレイ当時のものとなります。

受け攻め性別不問/男女恋愛要素あり
R18と特殊設定のものはワンクッション置いています。
年齢制限は守ってください。よろしくお願いします。