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No.62

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レイはいつものように引き出しを開けた。そこには必ず糖分補給に必須の飴やチョコ、マ…

小説

#レイ主

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#レイ主




レイはいつものように引き出しを開けた。そこには必ず糖分補給に必須の飴やチョコ、マシュマロなんかがあり、しばし、定期的にレイはそれをつまむ。彼女に健康のことを口煩く言う割に彼は仕事中心の不健康な食生活を送っている。今日もそうしようとし、そして見慣れぬ箱を見つけた。かわいい雪うさぎのイラストが入った愛らしい箱だがレイは自分のために買うタイプではない。思った通りにメッセージを見つける。虫歯のひとは食べちゃダメ!もちろん、レイは虫歯なんかではない。欠かさずフロスしているし、磨きも忘れていない。前に痛んだことがあったがそれも過ぎ去った。だから、レイは箱を開けて、雪だるまみたいにころころしているスノーボールクッキーをひとつ食べた。溶けるような食感のそれをもう一度食べ、簡素に、なるべく無愛想に端末でメッセージを送った。

私は虫歯ではない。
スタンプがすぐ送られてくる。無言の意味を示す。呆れて黙っているつもりか?と送ると、理解しているみたいだね、とテキストが送られてきた。

声が聞きたくなった。テキストを読んだだけで、表情と声が再現できた。彼女はそれでもいたずらが成功したみたいな顔をしているだろう。

得意気だ。
そう返すと、意外と見つからなかったから、と言う。私が仕事をしていただけだ、と言うと、それは私も同じ、と返ってくる。随分暇そうだが、と送ると、今は休憩してるの、と言う。それから居場所が送られてきた。ランチを食べてるの、あなたもどう?

彼は立ち上がろうとした自分の足を諌めるのに気力を要した。残念だが、今から会議と手術の予定がある。彼女の表情が曇った気がした。ちゃんと食べた?食べた。お前の贈り物を。

分かった、と彼女が言った。差し入れするからそれを食べて。仕事は?と言うと病院の方角で用事があるから。彼は、また気力を要した。それなら、今すぐ顔を見せてくれ、とは送れなかった。

感謝する。
彼女が笑った。

彼は自分が休みを取っていないことに気づいた。メールで打診すると、調整してからになるが、必ず休みを取ってくださいと返信がきた。彼は息を吐いた。

彼女からもうメッセージは来ない。満足したのだろう、自分の親切さに。お節介さとも言うが。

彼はもう一度彼女からの贈り物を食べる。甘さが寄り添ってくれる気がする。彼は会議の時間までレストランを検索し、やがて彼女が気に入るだろう店をメモに残すと、レイ先生になるべく、仕事に戻った。検索している間に食事をした方がいい?彼女からの差し入れが届くのに、彼はそんな愚かなことをするほど、愚かではなかった。

アナウンス
※現在プレイを休止しているものあります。
倉庫としておいています。

受け攻め性別不問/男女恋愛要素あり
R18と特殊設定のものはワンクッション置いています。
年齢制限は守ってください。よろしくお願いします。