No.14, No.13, No.12, No.11, No.10, No.9, No.8[7件]
短文2
フォークをここに置いたんか、と嘆きのリズムで言われて、そやけどなんやと食事を続行する。ここに置いてもうたらもうどうにもならんと佐久山さんが項垂れた。美味いで、とポテトを差し出す。そんなもん見たら分かるわと佐久山さんが言った。見ても味は分からんやろと言うとアホやな、よーちゃんは、と言われる。心外に思えて熱心にポテトを差し出す。佐久山さんは口を開けてポテトを食べた。繁殖しとるな。
「え?」
「ほら繁殖してるで」
無数に広がる穴が風に吹かれて散った花びらみたいに増えている。
「フォークのせいやで」
「ポテトにフォーク使うやろ」
「そやけどさあ」
一定のテーブルマナーが流行ってしまった所為で単純な世界はそれを規律としてしまった。最初そのテーブルマナーが出てきたのはテレビでキャラ付けされたとんちきなお姉さまだったのだが、すっかり洗脳された世界はこれを常識と変換し、規定の通りにしなければ逸脱した行動を取るようになった。私は穴にフォークとポテトを落として手打ちにした。美しい鈴のような音が響いて、ポテトはなくなってしまった。
「なんでや?!」
「美味かったんやろ」
「そりゃ、美味いわ」
「残念やなあ」
佐久山さんはにやにやと笑っている。落としてなくなってしまったフォークを引き出しから取り出し、テーブルマナーに沿って丁寧に置いた。穴は徐々に小さくなり消えていく。
「ポテト食べたいなあ」
「しょーがなしやで」
佐久山さんはニヤリと笑う。これからポテトを買う旅に出てくれるらしい。私は指についていた塩を舐めた。単純な世界の気持ちは少しは分かるつもりだ。フォークは静かに待っている。次のテーブルマナーが動くのを。それを待たずに私たちは車に乗り込んだ。いざ行かん。
こうして、長い旅路が始まった。
フォークをここに置いたんか、と嘆きのリズムで言われて、そやけどなんやと食事を続行する。ここに置いてもうたらもうどうにもならんと佐久山さんが項垂れた。美味いで、とポテトを差し出す。そんなもん見たら分かるわと佐久山さんが言った。見ても味は分からんやろと言うとアホやな、よーちゃんは、と言われる。心外に思えて熱心にポテトを差し出す。佐久山さんは口を開けてポテトを食べた。繁殖しとるな。
「え?」
「ほら繁殖してるで」
無数に広がる穴が風に吹かれて散った花びらみたいに増えている。
「フォークのせいやで」
「ポテトにフォーク使うやろ」
「そやけどさあ」
一定のテーブルマナーが流行ってしまった所為で単純な世界はそれを規律としてしまった。最初そのテーブルマナーが出てきたのはテレビでキャラ付けされたとんちきなお姉さまだったのだが、すっかり洗脳された世界はこれを常識と変換し、規定の通りにしなければ逸脱した行動を取るようになった。私は穴にフォークとポテトを落として手打ちにした。美しい鈴のような音が響いて、ポテトはなくなってしまった。
「なんでや?!」
「美味かったんやろ」
「そりゃ、美味いわ」
「残念やなあ」
佐久山さんはにやにやと笑っている。落としてなくなってしまったフォークを引き出しから取り出し、テーブルマナーに沿って丁寧に置いた。穴は徐々に小さくなり消えていく。
「ポテト食べたいなあ」
「しょーがなしやで」
佐久山さんはニヤリと笑う。これからポテトを買う旅に出てくれるらしい。私は指についていた塩を舐めた。単純な世界の気持ちは少しは分かるつもりだ。フォークは静かに待っている。次のテーブルマナーが動くのを。それを待たずに私たちは車に乗り込んだ。いざ行かん。
こうして、長い旅路が始まった。
短文1
タケルに明日って常用漢字だっけ、と言われて俺はつい考え込んだ。
「常用漢字って何だっけ」
「常用漢字ってそりゃほらあれだよ」
「常用漢字もわかんないのに、常用漢字のこと気にするなよ」
「ちょっとしつこいんだけど」
うっとおしそうにタケルが目を伏せた。は?こっちは聞かれたから答えようとしただけですが?と思ったが、しかし常用漢字にも何の思い入れもないのだ。こんなことでまた喧嘩するほど常用漢字に義理立てする必要もない。
「明日だからそうだろ」
「何が?」
「だから」
だから、と繰り返して、もういいんだよ、常用漢字のことは。結局言わず口を閉じると、タケルが言う。
「明日何すんの」
「明日って、別に仕事だけど」
「何してんのここで」
お前が呼んだからだけど?!帰ろう。タケルに呼ばれて近所の公園まで出向いたが意味はなかった。俺の正義は支持されている。そこの通りすがりのおじさんにだって認められるはずだ。同士のつもりで微笑みかけ、薄気味悪そうに目を逸らされ、大体正義とはそういうものだから、俺はスマホをリュックにしまい込み、立ち上がった。
「じゃあな」
「は?」
「はぁ?」
「うっざ」
「はぁ……………」
目を細める。タケルはスマホに目を落としてタップしてメッセージを送っている。すこしの間その姿を眺めていたが俺はやっぱり帰ることにした。顔を上げると通りすがりの女の人がタケルに視線を送り、見惚れる瞬間を見つける。よくあることだ。
「おい、明日は常用漢字なのかって聞いてんだろ」
ドスが効いた声でタケルが話しかけてきた。
「明日になれば分かるんじゃない?」
明日の話ならさ。
俺はさっさと帰って、部屋のベッドに寝ころびながらスマホで調べてみた。明日、常用漢字。驚いたことにあすとあしたで違うらしい。漢字で書くと同じなのに。
タケルはこれを言いたかったのか?俺はどうだろうと思う。どうでもよかったはずだ。俺だってどうでもいい。
全部明日になれば分かるだろう。
義理立てするものは、もう何もなかった。
タケルに明日って常用漢字だっけ、と言われて俺はつい考え込んだ。
「常用漢字って何だっけ」
「常用漢字ってそりゃほらあれだよ」
「常用漢字もわかんないのに、常用漢字のこと気にするなよ」
「ちょっとしつこいんだけど」
うっとおしそうにタケルが目を伏せた。は?こっちは聞かれたから答えようとしただけですが?と思ったが、しかし常用漢字にも何の思い入れもないのだ。こんなことでまた喧嘩するほど常用漢字に義理立てする必要もない。
「明日だからそうだろ」
「何が?」
「だから」
だから、と繰り返して、もういいんだよ、常用漢字のことは。結局言わず口を閉じると、タケルが言う。
「明日何すんの」
「明日って、別に仕事だけど」
「何してんのここで」
お前が呼んだからだけど?!帰ろう。タケルに呼ばれて近所の公園まで出向いたが意味はなかった。俺の正義は支持されている。そこの通りすがりのおじさんにだって認められるはずだ。同士のつもりで微笑みかけ、薄気味悪そうに目を逸らされ、大体正義とはそういうものだから、俺はスマホをリュックにしまい込み、立ち上がった。
「じゃあな」
「は?」
「はぁ?」
「うっざ」
「はぁ……………」
目を細める。タケルはスマホに目を落としてタップしてメッセージを送っている。すこしの間その姿を眺めていたが俺はやっぱり帰ることにした。顔を上げると通りすがりの女の人がタケルに視線を送り、見惚れる瞬間を見つける。よくあることだ。
「おい、明日は常用漢字なのかって聞いてんだろ」
ドスが効いた声でタケルが話しかけてきた。
「明日になれば分かるんじゃない?」
明日の話ならさ。
俺はさっさと帰って、部屋のベッドに寝ころびながらスマホで調べてみた。明日、常用漢字。驚いたことにあすとあしたで違うらしい。漢字で書くと同じなのに。
タケルはこれを言いたかったのか?俺はどうだろうと思う。どうでもよかったはずだ。俺だってどうでもいい。
全部明日になれば分かるだろう。
義理立てするものは、もう何もなかった。
片隅にて。攻略ページ。
ルート分岐がわかりにくい点があるので、記載しておきます。
完全ネタバレになるので続きからどうぞ。
《授業の選択肢によって「ロウ」のtypeが変わります》
点数の合計によってtypeが変わります。
①
そう思う:10
そう思わない:20
答えない:30
②
そう思う:20
そう思わない:10
答えない:30
③
そう思う:30
そう思わない:10
答えない:20
④
そう思う:10
そう思わない:20
答えない:30
⑤
そう思う:10
そう思わない:30
答えない:20
type:戦士 ▶80点以下
type:軍略家▶90点~120点の間
type:研究者▶130点以上
放課後の選択肢で変動はありません
ほろたの技術と管理の限界につき出来ませんでしたが、同僚を選んでいると同僚のEDで一言追加があります
《二週目ED》
ロウのENDをどのtypeでもいいので一度見た後で五日目の夜に「立ち止まる」を選択するとオートで分岐します
その為ロウの他のtypeを見たい時には「もう休む」を選んでください。
畳む
ルート分岐がわかりにくい点があるので、記載しておきます。
完全ネタバレになるので続きからどうぞ。
《授業の選択肢によって「ロウ」のtypeが変わります》
点数の合計によってtypeが変わります。
①
そう思う:10
そう思わない:20
答えない:30
②
そう思う:20
そう思わない:10
答えない:30
③
そう思う:30
そう思わない:10
答えない:20
④
そう思う:10
そう思わない:20
答えない:30
⑤
そう思う:10
そう思わない:30
答えない:20
type:戦士 ▶80点以下
type:軍略家▶90点~120点の間
type:研究者▶130点以上
放課後の選択肢で変動はありません
ほろたの技術と管理の限界につき出来ませんでしたが、同僚を選んでいると同僚のEDで一言追加があります
《二週目ED》
ロウのENDをどのtypeでもいいので一度見た後で五日目の夜に「立ち止まる」を選択するとオートで分岐します
その為ロウの他のtypeを見たい時には「もう休む」を選んでください。
畳む
手当たり次第に撃ち込んだ、さながら散弾銃の風格で。現実的にはそれはネコパンチだ。失礼、かわいく言いすぎだ。しかし徒手空拳というのも、なにか違う。暴れるほど暴れ果て、掴んだものは外れた宝くじのようものだ、何が言いたいかって?ノイズは仕方ない。ノイズを除去するイヤホンも忘れた。お買い得です!声が聞こえる。声を張り上げて店員が叫んでいる。お買い得です!セールです!今だけ!期間限定!ざわざわとしたノイズに再び戻る。彼女がやってきて、やってきて、隣に並んで、お買い得、と言った。見ますか、と僕は言い、彼女は首を傾げた。お買い得って大変だから、と彼女は言う。まあ確かに。
ノイズは広がって、僕は散弾銃を持つ。比喩だ。心としてそうだから、そう言う。散弾銃を持つ。本当はどんなものかよく分からない。マシンガンとはどうも違うらしい。彼女は見たい映画があるんですと言う。アクション。スターンローンの。機関銃。その機関銃なのか?僕は握る。彼女の手を。彼女は握り返す。スターンローンの映画を観に行こう。ノイズがやってくる。僕は歩き出す。彼女は歩き出す。お買い得です!
「あの店、見たいです。何がお買い得なのか、本当は知りたくて」
彼女は笑った。
「実は私もそうです。あんなに必死に言ってるから、すごいものがありそうじゃないですか」
「本当に。で、映画も見ましょう」
機関銃は置いていなかった。猫のかわいい靴下が置いてあって、彼女は困った顔をして、困ったと言うから僕は少し笑った。