短文9十中八九間違いやろと森永は言ったが岡田は準備を続ける、討伐の予定は立っているがそれを実行するのに当番が当たっていた。清め払え誘導する、先導役のラッパ吹きは森永の役目で、岡田はその補佐に当たる。当人にやる気がないのは残念だが、森永には才能がある。努力を積み重ねている岡田よりもそうだった、だが森永はやりたくないと駄々をこねている。「自分がやったらええやろ」「なんでや、お前がやれや」お前の役目やろ、森永の言葉に眉間に皺が出来る。「ほら持っとけ、生徒手帳。そんで俺の代わりやれ」「森永の役目やろ」「やりたいわけやない!」思いの外切羽詰まった声だった。「百鬼夜行はその為のもんやろ」岡田は冷静だ。冷静に努めている。「やってどないすんねん、しょーもないわ。時代遅れの遺物や」「大事にせい。お前の生まれ持った才能に感謝して、な」「生まれるのが間違いや」一瞬時が冷えた。岡田は周囲を伺う。誰もいなかった。ほっと胸を撫で下ろす。「もうええ、もうえええて」「なにがええねん」岡田は、息を吐いた。「化けもん、倒さな、しまいやろ」「俺ら、ただの人間やで」森永は岡田も含めた。「ちゃう、お前だけや」「なんでそんなこと言うん」「決まっとるからや」「なんも決まってへんやんか………」扉が開いた。「お前らなにしてん。みんな、待っとんで」担当の教師だ。分かってます、今行きます、岡田は答えた。教師は頷く。「生徒手帳は持ったか?」「持ってます」「そんならはよ来いや」教師は森永を一瞥した。森永は目を合わせない。なにかを諦めた教師が出ていく。「森永」「っしゃ、やろか」岡田は頷いた。森永はお喋りを始めた。どうでもいい話だ。岡田は準備を進める。十中八九間違いやろ。本当は岡田もそう思っていた。 2024.2.1(Thu) 11:00:33 文章,短編 edit
十中八九間違いやろと森永は言ったが岡田は準備を続ける、討伐の予定は立っているがそれを実行するのに当番が当たっていた。清め払え誘導する、先導役のラッパ吹きは森永の役目で、岡田はその補佐に当たる。当人にやる気がないのは残念だが、森永には才能がある。努力を積み重ねている岡田よりもそうだった、だが森永はやりたくないと駄々をこねている。
「自分がやったらええやろ」
「なんでや、お前がやれや」
お前の役目やろ、森永の言葉に眉間に皺が出来る。
「ほら持っとけ、生徒手帳。そんで俺の代わりやれ」
「森永の役目やろ」
「やりたいわけやない!」
思いの外切羽詰まった声だった。
「百鬼夜行はその為のもんやろ」
岡田は冷静だ。冷静に努めている。
「やってどないすんねん、しょーもないわ。時代遅れの遺物や」
「大事にせい。お前の生まれ持った才能に感謝して、な」
「生まれるのが間違いや」
一瞬時が冷えた。岡田は周囲を伺う。誰もいなかった。ほっと胸を撫で下ろす。
「もうええ、もうえええて」
「なにがええねん」
岡田は、息を吐いた。
「化けもん、倒さな、しまいやろ」
「俺ら、ただの人間やで」
森永は岡田も含めた。
「ちゃう、お前だけや」
「なんでそんなこと言うん」
「決まっとるからや」
「なんも決まってへんやんか………」
扉が開いた。
「お前らなにしてん。みんな、待っとんで」
担当の教師だ。
分かってます、今行きます、岡田は答えた。教師は頷く。
「生徒手帳は持ったか?」
「持ってます」
「そんならはよ来いや」
教師は森永を一瞥した。森永は目を合わせない。なにかを諦めた教師が出ていく。
「森永」
「っしゃ、やろか」
岡田は頷いた。森永はお喋りを始めた。どうでもいい話だ。岡田は準備を進める。十中八九間違いやろ。本当は岡田もそう思っていた。