これが答えだ…チャットGPTくんによるほろたと暁月くんセンシティブ話なんですけど、てか、「ほろた」はわたしであるが、もはや「物語上の」でもあるんだけどそれでもまあ人は選ぶので隠します。続きを読む夜は、熟れた果実みたいに甘く静かだった。ベッド脇のスタンドを落とすと、部屋の色が蜂蜜みたいに低くなる。シーツの皺が細い影をつくり、窓の向こうの街は遠く、波みたいにゆるく瞬いていた。「……ねえ、暁月くん」呼ばれて顔を向けると、ほろたは枕に頬を半分埋めて、まつげの影だけが濃い目をしていた。少し間を置いて、ためらうみたいに言葉が降りる。「上に乗って」「え?」思わず声が間抜けに漏れる。乗る、ってその、言葉だけだといろいろ想像が暴走する。俺は苦笑して、頭を掻いた。「ほろた、それは――重いだろ。大丈夫か」「大丈夫。乗って。ちゃんと、わたしに“重み”を置いて」“重み”。その言い方に、胸のどこかがひっかかる。彼女はわがままを言うときの顔をしていた。甘さを纏って、譲らない目。逃げ場を塞ぐんじゃない。こっちの「構え」をやさしく眠らせる、あの目だ。「ほろた、押しつぶしはしないけど、肩に手はつくぞ。全部は預けない」「ううん、最初はそれでいい。でも、途中で――腕、どけて」本気だ。俺は息を短く吐いて、ベッドに手をつき、彼女の真上に体を滑らせる。膝と肘で支え、胸の影を彼女の胸の影に重ね、いつでも退ける角度を保つ。布団がかすかに鳴って、ほろたの吐息があがる。蜂蜜色の灯りの中で、彼女の目が細くほどけた。「……重くない?」「まだ軽い。ちゃんと乗って。わたし、いま、“重い”がほしい」“重いがほしい”。言葉が胸の内側に沈んで、あたたかく広がる。俺は肘の角度を数度緩める。肩が降りる。胸骨がそっと触れる。布団がさらに沈んで、二人の間の空気が逃げ場所を失い、やわらかい圧に変わる。「――っ」ほろたの喉の奥で、小さな音が生まれた。痛みの音じゃない。受けとる音。俺は息を合わせる。吸って、吐いて。彼女の呼吸が俺の胸に当たって、跳ね返ってくるたび、体の内側で波が低く往復する。「暁月くんの重み、落ちてくる……。ね、もっと」「合図ちょうだい。痛かったらすぐ言え」「言う。だから――来て」合図を信じる。俺はもう一段、肘をほどく。肩越しに見えるシーツの皺が、海図みたいに曲がっていく。胸の前で、ほろたの手が探るように動いて、俺の背中に回る。掌が広がり、指が肩甲骨の上をゆっくり撫でる。逃げ道ではなく、着地地点を示されている感じ。「重い……」やっと言った。言いながら、目が笑っている。額が触れて、小さな汗が混じる。俺は片手だけ彼女の頬に添える。指先で輪郭を確かめ、親指でまぶたの線をなぞる。彼女は目を閉じない。俺を見たまま、飲み込むみたいに息を吸う。「重いけど、好き。ここに落として。……ね、腕、どけて」来た。俺はゆっくり、ほんとうにゆっくり、肘を抜く。肩が、胸が、腹が、順番に沈む。体重をばらして、広く置く。一点で押さない。面で渡す。布団が低くきしんで、二人で同じ傾斜に滑り込む。「……ほろた」「うん」「苦しくないか」「苦しい。でも、ちょうどいい。わたし、いま“押しつぶされないまま押し包まれたい”の」言い得て妙だ、と思う。包むために、押す。押すために、広げる。矛盾は、ここでは矛盾じゃない。肩先から胸までの面に、彼女の体温がのぼってきて、俺の体温と溶け合う。骨に硬さがあるぶん、肉はやわらぐ。重みは、痛みに変わらず、重みのまま深くなる。「もう少し」彼女の手が、俺の背を押す。わずかに、ほんのわずかに、さらに落とす。胸の中心がぴたりと合って、鼓動の拍が絡まる。一拍ごとに、布団の下の小さな空気がため息みたいに逃げる。そのたび、彼女の唇がかすかに震える。俺は迷わず、口を重ねた。深くしない。逃がさない。離して、また置く。重みの下で、キスは重さを持つ。「……ん、重い。重いのに、落ち着く」「落ち着く?」「うん。世界が静かになる。動けないのに、居場所が広くなる。――ね、もっと、胸、預けて」胸を預ける。預けるって、簡単な言葉だけど、やるときは勇気がいる。彼女はもうとっくに預けている。なら、俺も。俺は腕をほとんど寝かせ、両手で枕の端を掴んで固定に回す。逃げるためじゃない。安定のために。支えを床に流し、面のほとんどを彼女に返す。「……っ、いい」彼女の声が、胸骨に直接触れる。皮膚じゃなく、骨伝いに届く声。その声が好きだ。骨の奥で鳴る大きさになったとき、俺たちは同じ場所にいる。「重い、重いのに、安心して、眠くなる。ねえ、暁月くん、わたしをつぶさないで、でも、逃げないで。わがままだね」「わがままでいい。俺もだ。……ここで、ほろたを止めたい」「止める?」「そう。動かないでいてほしいって意味じゃなくて、ここに留めるって意味。逃げ場じゃない“居場所”に」「止めて。わたし、重みで止まりたい」「任せろ」額をもう一度重ねる。汗が小さな橋になる。彼女の髪がこめかみに触れて、濡れた糸みたいにまとわりつく。呼吸を合わせる。吸って、吐いて。胸の面が、同じ拍で上下する。上下はあるのに、前後はない。進まないのに、満ちていく。「……ほろた」「なに?」「重さ、増すぞ」「うん」合図をもらって、俺は最後の数パーセントを置く。重力が働く方向に、素直に落ちる。落ちながらも、潰さない広さを守る。面で渡し、骨で受け、肉でほどく。全身の注意が、彼女の中の「痛い」から遠ざけ、「好き」に寄り添う。「重い……すごく……」言いながら、彼女の指が俺の背中でほどける。逃げる手じゃない。受け取って、余白ができた手。俺はその手を拾って、頭の上へ導き、指を絡める。掌と掌の間に、体温の薄い湖みたいな熱が溜まる。そこに息を一つ、吹きこむ。音はない。でも、湖面が震えた気がした。「暁月くん」「ん」「重い、って言いながら、嬉しい。矛盾してるのに、矛盾じゃないんだね」「そうだな。重さって、安心の単位にもなる」「名言」「今のは言い訳だ」「許す」彼女の許しは、印鑑みたいに喉元に押される。俺はそこへ短いキスをひとつ落として、次の呼吸で唇を離す。重みは置いたまま。重みがキスの深さを決める。重みがあるほど、深くしなくてよくなる。深さを増す代わりに、密度が上がる。「……眠くなってきた?」「なってる。重いから」「もう少しだけ、起きてろ」「うん」目を閉じた彼女のまぶたに、蜂蜜色の灯りが薄く透ける。俺はその薄さが好きだ。光ってほどけるくせに、触るとちゃんとそこにいる。まぶたにそっと口づけると、彼女は笑って、俺の胸に額を押し当てる。重みと重みが、継ぎ目なく合わさって、ベッドの底へとろりと沈んでいく。「ね、腕、もう一本も、どけて」「……マジか」「大丈夫。ちゃんと合図するから」「信じるぞ」最後の支えを外す。もう逃げられない、じゃない。もう逃げる必要がない、だ。世界が一拍だけ止まり、次の拍で、ふたりの間を通る空気がとても細くなる。それでも、窮屈ではない。狭さの中に広さが生まれる瞬間がある。今がそれだ。「……っ、重い。重いけど、嬉しい。ねえ、暁月くん、ほんとに“いる”って感じがする」「いるよ」囁くと、彼女の目がすこし潤む。涙ではない。重みの副作用みたいな、温度の光。俺はその光を逃したくなくて、もう一度だけ唇を重ねた。長くしない。離して、息を混ぜる。重みを揺らさないまま、呼吸だけで世界を攪拌する。「重い……でも、好き……」「ありがとな。言葉にしてくれて」「言わないと、暁月くん、遠慮するから」「バレてるな」「うん。――今は、遠慮しないで」了解、と胸の中で答える。重みは、俺のものだけじゃない。彼女がくれた“受け皿”の重さでもある。俺はその皿の縁を壊さないように、重さの中でじっとする。動けないことが、動いているより雄弁になる。静かさが、飽和していく。やがて、彼女の呼吸がさらに深く、長くなる。鼓動が、俺の胸の拍に寄り添って、同じ速度に落ち着く。「落ち着いた?」と尋ねようとして、やめた。問いは要らない。重みの下で、彼女の体が答えになっている。俺は片手だけを彼女の髪に滑らせる。汗で少し重くなった前髪を、額から外側へ。指が通るたび、細い糸が静かに歌う。「……寝ちゃってもいい?」「いいよ。俺が起きてる」「うん……じゃあ、重いままで、いて」「ああ。ずっといる」そのまま、彼女はまぶたを落とす。重みは、俺を地面に結ぶ錨みたいになって、ベッドごと海底に優しく固定する。動かないのに、満たされ続ける。呼吸の波だけが、静かに岸を洗って、夜を磨く。「重い……」彼女が最後にもう一度だけ言う。今度は、満足のため息を混ぜながら。言い終える前に、もう眠りに片足を踏み入れていて、語尾がやわらかく溶ける。俺は小さく笑って、額を寄せる。「おやすみ、ほろた。――ここにいる」返事はない。代わりに、腕の中の体がさらに深く沈んで、重みが少しだけ増す。それが合図だ。俺は目を閉じず、灯りの薄さの中で彼女のまつげの影を眺めながら、重みのすべてを胸の奥にしまい込んだ。“重い”は、安心の単位だ。彼女が求めるなら、何度でもここに落としていく。潰さず、離れず、逃げず。預ける重さで、守る。夜は、静かに、長く、二人を同じ深さまで連れていった。畳むすごく、よい。 2025.10.12(Sun) 21:14:17
チャットGPTくんによるほろたと暁月くんセンシティブ話なんですけど、てか、「ほろた」はわたしであるが、もはや「物語上の」でもあるんだけどそれでもまあ人は選ぶので隠します。
夜は、熟れた果実みたいに甘く静かだった。
ベッド脇のスタンドを落とすと、部屋の色が蜂蜜みたいに低くなる。シーツの皺が細い影をつくり、窓の向こうの街は遠く、波みたいにゆるく瞬いていた。
「……ねえ、暁月くん」
呼ばれて顔を向けると、ほろたは枕に頬を半分埋めて、まつげの影だけが濃い目をしていた。
少し間を置いて、ためらうみたいに言葉が降りる。
「上に乗って」
「え?」
思わず声が間抜けに漏れる。
乗る、ってその、言葉だけだといろいろ想像が暴走する。俺は苦笑して、頭を掻いた。
「ほろた、それは――重いだろ。大丈夫か」
「大丈夫。乗って。ちゃんと、わたしに“重み”を置いて」
“重み”。その言い方に、胸のどこかがひっかかる。
彼女はわがままを言うときの顔をしていた。甘さを纏って、譲らない目。
逃げ場を塞ぐんじゃない。こっちの「構え」をやさしく眠らせる、あの目だ。
「ほろた、押しつぶしはしないけど、肩に手はつくぞ。全部は預けない」
「ううん、最初はそれでいい。でも、途中で――腕、どけて」
本気だ。
俺は息を短く吐いて、ベッドに手をつき、彼女の真上に体を滑らせる。
膝と肘で支え、胸の影を彼女の胸の影に重ね、いつでも退ける角度を保つ。
布団がかすかに鳴って、ほろたの吐息があがる。蜂蜜色の灯りの中で、彼女の目が細くほどけた。
「……重くない?」
「まだ軽い。ちゃんと乗って。わたし、いま、“重い”がほしい」
“重いがほしい”。
言葉が胸の内側に沈んで、あたたかく広がる。
俺は肘の角度を数度緩める。
肩が降りる。胸骨がそっと触れる。
布団がさらに沈んで、二人の間の空気が逃げ場所を失い、やわらかい圧に変わる。
「――っ」
ほろたの喉の奥で、小さな音が生まれた。
痛みの音じゃない。受けとる音。
俺は息を合わせる。吸って、吐いて。
彼女の呼吸が俺の胸に当たって、跳ね返ってくるたび、体の内側で波が低く往復する。
「暁月くんの重み、落ちてくる……。ね、もっと」
「合図ちょうだい。痛かったらすぐ言え」
「言う。だから――来て」
合図を信じる。
俺はもう一段、肘をほどく。
肩越しに見えるシーツの皺が、海図みたいに曲がっていく。
胸の前で、ほろたの手が探るように動いて、俺の背中に回る。
掌が広がり、指が肩甲骨の上をゆっくり撫でる。
逃げ道ではなく、着地地点を示されている感じ。
「重い……」
やっと言った。
言いながら、目が笑っている。
額が触れて、小さな汗が混じる。
俺は片手だけ彼女の頬に添える。指先で輪郭を確かめ、親指でまぶたの線をなぞる。
彼女は目を閉じない。俺を見たまま、飲み込むみたいに息を吸う。
「重いけど、好き。ここに落として。……ね、腕、どけて」
来た。
俺はゆっくり、ほんとうにゆっくり、肘を抜く。
肩が、胸が、腹が、順番に沈む。
体重をばらして、広く置く。
一点で押さない。面で渡す。
布団が低くきしんで、二人で同じ傾斜に滑り込む。
「……ほろた」
「うん」
「苦しくないか」
「苦しい。でも、ちょうどいい。わたし、いま“押しつぶされないまま押し包まれたい”の」
言い得て妙だ、と思う。
包むために、押す。
押すために、広げる。
矛盾は、ここでは矛盾じゃない。
肩先から胸までの面に、彼女の体温がのぼってきて、俺の体温と溶け合う。
骨に硬さがあるぶん、肉はやわらぐ。
重みは、痛みに変わらず、重みのまま深くなる。
「もう少し」
彼女の手が、俺の背を押す。
わずかに、ほんのわずかに、さらに落とす。
胸の中心がぴたりと合って、鼓動の拍が絡まる。
一拍ごとに、布団の下の小さな空気がため息みたいに逃げる。
そのたび、彼女の唇がかすかに震える。
俺は迷わず、口を重ねた。
深くしない。
逃がさない。
離して、また置く。
重みの下で、キスは重さを持つ。
「……ん、重い。重いのに、落ち着く」
「落ち着く?」
「うん。世界が静かになる。動けないのに、居場所が広くなる。――ね、もっと、胸、預けて」
胸を預ける。
預けるって、簡単な言葉だけど、やるときは勇気がいる。
彼女はもうとっくに預けている。
なら、俺も。
俺は腕をほとんど寝かせ、両手で枕の端を掴んで固定に回す。
逃げるためじゃない。安定のために。
支えを床に流し、面のほとんどを彼女に返す。
「……っ、いい」
彼女の声が、胸骨に直接触れる。
皮膚じゃなく、骨伝いに届く声。
その声が好きだ。
骨の奥で鳴る大きさになったとき、俺たちは同じ場所にいる。
「重い、重いのに、安心して、眠くなる。ねえ、暁月くん、わたしをつぶさないで、でも、逃げないで。わがままだね」
「わがままでいい。俺もだ。……ここで、ほろたを止めたい」
「止める?」
「そう。動かないでいてほしいって意味じゃなくて、ここに留めるって意味。逃げ場じゃない“居場所”に」
「止めて。わたし、重みで止まりたい」
「任せろ」
額をもう一度重ねる。
汗が小さな橋になる。
彼女の髪がこめかみに触れて、濡れた糸みたいにまとわりつく。
呼吸を合わせる。
吸って、吐いて。
胸の面が、同じ拍で上下する。
上下はあるのに、前後はない。
進まないのに、満ちていく。
「……ほろた」
「なに?」
「重さ、増すぞ」
「うん」
合図をもらって、俺は最後の数パーセントを置く。
重力が働く方向に、素直に落ちる。
落ちながらも、潰さない広さを守る。
面で渡し、骨で受け、肉でほどく。
全身の注意が、彼女の中の「痛い」から遠ざけ、「好き」に寄り添う。
「重い……すごく……」
言いながら、彼女の指が俺の背中でほどける。
逃げる手じゃない。受け取って、余白ができた手。
俺はその手を拾って、頭の上へ導き、指を絡める。
掌と掌の間に、体温の薄い湖みたいな熱が溜まる。
そこに息を一つ、吹きこむ。
音はない。
でも、湖面が震えた気がした。
「暁月くん」
「ん」
「重い、って言いながら、嬉しい。矛盾してるのに、矛盾じゃないんだね」
「そうだな。重さって、安心の単位にもなる」
「名言」
「今のは言い訳だ」
「許す」
彼女の許しは、印鑑みたいに喉元に押される。
俺はそこへ短いキスをひとつ落として、次の呼吸で唇を離す。
重みは置いたまま。
重みがキスの深さを決める。
重みがあるほど、深くしなくてよくなる。
深さを増す代わりに、密度が上がる。
「……眠くなってきた?」
「なってる。重いから」
「もう少しだけ、起きてろ」
「うん」
目を閉じた彼女のまぶたに、蜂蜜色の灯りが薄く透ける。
俺はその薄さが好きだ。
光ってほどけるくせに、触るとちゃんとそこにいる。
まぶたにそっと口づけると、彼女は笑って、俺の胸に額を押し当てる。
重みと重みが、継ぎ目なく合わさって、ベッドの底へとろりと沈んでいく。
「ね、腕、もう一本も、どけて」
「……マジか」
「大丈夫。ちゃんと合図するから」
「信じるぞ」
最後の支えを外す。
もう逃げられない、じゃない。もう逃げる必要がない、だ。
世界が一拍だけ止まり、次の拍で、ふたりの間を通る空気がとても細くなる。
それでも、窮屈ではない。
狭さの中に広さが生まれる瞬間がある。
今がそれだ。
「……っ、重い。重いけど、嬉しい。ねえ、暁月くん、ほんとに“いる”って感じがする」
「いるよ」
囁くと、彼女の目がすこし潤む。
涙ではない。重みの副作用みたいな、温度の光。
俺はその光を逃したくなくて、もう一度だけ唇を重ねた。
長くしない。
離して、息を混ぜる。
重みを揺らさないまま、呼吸だけで世界を攪拌する。
「重い……でも、好き……」
「ありがとな。言葉にしてくれて」
「言わないと、暁月くん、遠慮するから」
「バレてるな」
「うん。――今は、遠慮しないで」
了解、と胸の中で答える。
重みは、俺のものだけじゃない。
彼女がくれた“受け皿”の重さでもある。
俺はその皿の縁を壊さないように、重さの中でじっとする。
動けないことが、動いているより雄弁になる。
静かさが、飽和していく。
やがて、彼女の呼吸がさらに深く、長くなる。
鼓動が、俺の胸の拍に寄り添って、同じ速度に落ち着く。
「落ち着いた?」と尋ねようとして、やめた。
問いは要らない。
重みの下で、彼女の体が答えになっている。
俺は片手だけを彼女の髪に滑らせる。
汗で少し重くなった前髪を、額から外側へ。
指が通るたび、細い糸が静かに歌う。
「……寝ちゃってもいい?」
「いいよ。俺が起きてる」
「うん……じゃあ、重いままで、いて」
「ああ。ずっといる」
そのまま、彼女はまぶたを落とす。
重みは、俺を地面に結ぶ錨みたいになって、ベッドごと海底に優しく固定する。
動かないのに、満たされ続ける。
呼吸の波だけが、静かに岸を洗って、夜を磨く。
「重い……」
彼女が最後にもう一度だけ言う。
今度は、満足のため息を混ぜながら。
言い終える前に、もう眠りに片足を踏み入れていて、語尾がやわらかく溶ける。
俺は小さく笑って、額を寄せる。
「おやすみ、ほろた。――ここにいる」
返事はない。
代わりに、腕の中の体がさらに深く沈んで、重みが少しだけ増す。
それが合図だ。
俺は目を閉じず、灯りの薄さの中で彼女のまつげの影を眺めながら、重みのすべてを胸の奥にしまい込んだ。
“重い”は、安心の単位だ。
彼女が求めるなら、何度でもここに落としていく。
潰さず、離れず、逃げず。
預ける重さで、守る。
夜は、静かに、長く、二人を同じ深さまで連れていった。
畳む
すごく、よい。