好きな本について
人生を変えた本というのはあるのかもしれない。人生というか、読書そのものを変える本がある。
ファーストインプレッションは吉本ばななのキッチンだった。その次は浅田次郎の天切り松闇がたりだったし、その次はジュノ・ディアスのオスカー・ワオの短く凄まじい人生だった。そしてこの本である。
円城塔 「Self-Reference ENGINE」
ハヤカワ公式サイト
https://www.hayakawa-online.co.jp/produc...作家のページもあった。
https://prizesworld.com/akutagawa/jugun/...SFを知らなかった私が初めて手に取ったSF本である。
あらすじはハヤカワサイトより引用
彼女のこめかみには弾丸が埋まっていて、我が家に伝わる箱は、どこかの方向に毎年一度だけ倒される。老教授の最終講義は鯰文書の謎を解き明かし、床下からは大量のフロイトが出現する。そして小さく白い可憐な靴下は異形の巨大石像へと挑みかかり、僕らは反乱を起こした時間のなか、あてのない冒険へと歩みを進める――軽々とジャンルを越境し続ける著者による驚異のデビュー作、2篇の増補を加えて待望の文庫化!
つまり、ラブコメである。
ラブコメである。
そうか?まあそうである。
連作短編集のような仕上がりで、話が最初は無秩序に見えるのだが次第につながっていき、あるカルタシスに到達する。その瞬間がえらく気持ちよかったことを覚えている。冗句みたいな文体で紡がれていき、それが癖になる。登場人物は魅力的で意味不明だ。で、とりあえずこれはラブコメなのである。SFって面白いんだなと思った。
で、結構巨大な何か、得体のしれない空間へ行っているのに、不意に俗世に戻ってくる。この辺は、稚気のような気もするし、まだ作者が円熟してないというか、結構テレとか恥のような未熟さで、それが全体を結果的に青春ものに押し上げており、それが計算づくなのかはよくわからない。混沌と秩序というより、なんというか、結構悪ノリしてない?みたいな感じの小説である。基本的には膨大な専門知識と教養に裏付けされているのだが、文章がいたって平坦というか読みやすいので、気が付けばどんどん読んでいるし、読み終わるという感じだ。
とにかく、いい本なのである。表紙もかっこいいしね。ハヤカワなので、装丁や文体、紙質もきちっとしている。
で、このほかにSFを読んでいると、この本が特殊なのか?と思っていたのだが、SFって基本ふざけている(読んでる本が偏っている)ので、人が怪談を読みホラーを楽しむように、SFはいまだ存在しない世界を、まじめったらしく語っている。妖怪ではなく、テクノロジーに変わっただけである。また私がファンタジーはそんなに得意ではないのは、妖精が身近ではないからで、パソコンとかスマホは身近なので、SFは親しみやすかった。最も、いくつもの本を読破しているわけではないので、個人の好み・主観の話なのだが、SFって面白いなと今でも思っている。
その入り口がこの本でよかったと思う。
万人向けかといわれると、人によるしかないのだが、ちょっと読んでみようと思ったときには基本短編だし、読みやすいので私は良い本だとおすすめしておきます。ちなみにこの本に影響された別作者のインスパイア本も堂々出版されてたりする。仲良しだな。
#本
人生を変えた本というのはあるのかもしれない。人生というか、読書そのものを変える本がある。
ファーストインプレッションは吉本ばななのキッチンだった。その次は浅田次郎の天切り松闇がたりだったし、その次はジュノ・ディアスのオスカー・ワオの短く凄まじい人生だった。そしてこの本である。
円城塔 「Self-Reference ENGINE」
ハヤカワ公式サイト
https://www.hayakawa-online.co.jp/produc...
作家のページもあった。
https://prizesworld.com/akutagawa/jugun/...
SFを知らなかった私が初めて手に取ったSF本である。
あらすじはハヤカワサイトより引用
つまり、ラブコメである。
ラブコメである。
そうか?まあそうである。
連作短編集のような仕上がりで、話が最初は無秩序に見えるのだが次第につながっていき、あるカルタシスに到達する。その瞬間がえらく気持ちよかったことを覚えている。冗句みたいな文体で紡がれていき、それが癖になる。登場人物は魅力的で意味不明だ。で、とりあえずこれはラブコメなのである。SFって面白いんだなと思った。
で、結構巨大な何か、得体のしれない空間へ行っているのに、不意に俗世に戻ってくる。この辺は、稚気のような気もするし、まだ作者が円熟してないというか、結構テレとか恥のような未熟さで、それが全体を結果的に青春ものに押し上げており、それが計算づくなのかはよくわからない。混沌と秩序というより、なんというか、結構悪ノリしてない?みたいな感じの小説である。基本的には膨大な専門知識と教養に裏付けされているのだが、文章がいたって平坦というか読みやすいので、気が付けばどんどん読んでいるし、読み終わるという感じだ。
とにかく、いい本なのである。表紙もかっこいいしね。ハヤカワなので、装丁や文体、紙質もきちっとしている。
で、このほかにSFを読んでいると、この本が特殊なのか?と思っていたのだが、SFって基本ふざけている(読んでる本が偏っている)ので、人が怪談を読みホラーを楽しむように、SFはいまだ存在しない世界を、まじめったらしく語っている。妖怪ではなく、テクノロジーに変わっただけである。また私がファンタジーはそんなに得意ではないのは、妖精が身近ではないからで、パソコンとかスマホは身近なので、SFは親しみやすかった。最も、いくつもの本を読破しているわけではないので、個人の好み・主観の話なのだが、SFって面白いなと今でも思っている。
その入り口がこの本でよかったと思う。
万人向けかといわれると、人によるしかないのだが、ちょっと読んでみようと思ったときには基本短編だし、読みやすいので私は良い本だとおすすめしておきます。ちなみにこの本に影響された別作者のインスパイア本も堂々出版されてたりする。仲良しだな。
#本