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全年2月3日の投稿3件]

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(画像省略)この人たち

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節分漫画

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あんたは生命線が日本一周くらいあるよと唐揚げ弁当食べながらばあちゃんが言った。そ…

文章,短編

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短文14

あんたは生命線が日本一周くらいあるよと唐揚げ弁当食べながらばあちゃんが言った。そんなにないでしょと笑うとそのくらい長いってことだよ、とばあちゃんも笑った。いいことだよ。

自分の手のひらを見つめていると琴子がどうしたのと声をかけてきた。いろんな管で繋がれた琴子は青ざめた白い肌のはかない美少女そのもので、病気ってのはロリコン趣味なのかと場違いに考えた。
「琴子、日本一周しない?」
「いきなり?」
「そう。私の生命線、そのくらいあるんだって」
「そんなに?」
「そう」
「いいよ」
「え?」
「行こう、日本一周」
私たちは病院を抜け出した。このまま世界一周だ!私たちは電車に乗り込んだ。どこまでも行ける気がした。でも二駅目で琴子の具合が悪くなった。周りの大人が気づいてくれて琴子は賢いから連絡先カードを持っていて、そこには担当医の連絡先も書いてあった。職員に付き添われ、救急車を待った私たちはそのまま病院に逆戻りし、私は母親に叩かれた。あんた!琴子ちゃんを殺す気?!本当に琴子が死んだら私を殺す気だったと後に母親は語った。琴子の母親は私の日本一周の話を聞き、疲れたようなどうしようもないような顔で笑った。笑うしかなかったのかもしれない。私は一人で日本一周することにした。琴子の健康を願掛けして回るのだ。そうすれば、生命線の導きで琴子は元気になるかもしれない。私はなにも考えず飛び出して、偶然出会った大人が善良なのと私ぐらい馬鹿だったので、私が日本一周をすることを手伝ってくれた。山を越え野を越え海を越え、蜜柑の木をたどり、牛だらけの村を越え、大きな城がある街を越え、わかめが落ちている港を行き、琴子に葉書を送り続けた。その途中だ。連絡があった。琴子が亡くなった。死んじゃった。

私は日本一周なんかしている場合ではなかったのだ。当然だ。もっと琴子のそばにいればよかった。

私は杉が整頓されて生い茂る山深くで伐採のチェンソーが唸る最中、どこまでも延びて行く枝の先にある空を見つめながら、真実に気づいてしまった。

琴子の死が怖かった。

泣きながら歩く私の前に、老人がやってきて、あんたどないかしたんかと言う。私がなにも言わず首を振ると、老人は袋を押し付けた。

唐揚げ弁当、食べや。
美味しいから元気出るよって。
なあ。

私の生命線は私の分しかなかった。私は笑い、老人は笑った。しわしわのどこかひんやりした掌が私の手を握る。私はそれを琴子の手のように思い、握り返したのだった。

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すべてを投げ捨てて、こんなところに来てしまった。一面の海、潮風のどこかしつこいか…

文章,短編

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短文13


すべてを投げ捨てて、こんなところに来てしまった。一面の海、潮風のどこかしつこいかんじ。音が広がり、夜に吸い込まれて行く。離れたところにいる陽キャの笑い声が聞こえてきては内心びくついた。しかしここで帰ってしまうわけにはいかない。目を細めて、空を見つめる。オリオン座を探した。星と星は点と点にしか思えずうろ覚えの知識は星座を作りことさえ成し遂げず、歴史と物語はただ点のまま頭上に広がっている。海と空の狭間で人は考えることを少し放棄する、振りをしているだけで実際、考えていることがあった。マグマだまりみたいに溜め込んだ結果、ぶつけてしまった○○(名前は実在上の人物なので匿名にさせていただく)への感情は晴れることなく、がむしゃらに傷つけただけだ。マグマの熱も海に来れば冷えるだろうと軽率な発想も表面だけは冷えてしこりは残っている。剥き出しすぎた感情に○○は戸惑って目を見開いた。○○とおれとの関係は一直線上に上司と部下であり、むしろおれは部下なのであり、しかし年上であって、○○は年下の優しい上司であって、立場が違えば即座セクハラ、パワハラにもなったが、上下関係における部下という点で一見分からなくなった力関係はぶつけてしまった時点でおれが明白に加害者なのである。やっちまった。オリオン座は未だ見えず、スマホを触ると発光したかのように眩しかった。話し合いましょう。いつもの穏やかで冷静な連絡が入っていた。話し合いましょう。とぼとぼと歩き出したおれは、脳内で辞表の書き方を検索する。職を失うより○○を喪うことが痛手だったが、仕方ないことであった。

また連絡が入って、今どこにいるんですか、と言われて、おれは海だよと答える。海です。何故と尋ねる叱責におれは素直にオリオン座を探しているんですと答えた。完全に頭がおかしくなった年上を、○○はあたたかい場所に行ってくださいと誘導しようとする。自殺の可能性を疑われ、コンプライアンス違反の可能性もあったが、オリオン座を探していただけにすぎず、規範を制定する人間もオリオン座のことを視野にいれては論議していないだろう。

帰って休んだら、また連絡します。月よりもぎらつくほどに光るスマホの画面をそっと落として、おれは教養のなさはロマンチシズムにも浸れないことを、潮風を浴びながら思うのだ。何もなくても夜の海は寒いし冬の海は寒かった。おれはなんとなく可笑しくなり、絶対いつか、この感情を俳句にしようと決意するのであった。

info
受け攻め性別不問/男女恋愛要素あり
R18と特殊設定のものはワンクッション置いています。
年齢制限は守ってください。よろしくお願いします。